近年、中国地方において無許可の違法回収業者が増加傾向にあり、回収された家電が適切な処理をされず野積みにされたり、不正に海外に売却された後フロンや鉛といった有害物質が垂れ流される等、環境破壊や不法投棄の原因となっている。適切な分別回収を通じて、こうした業者への資源の供給を断つこと、また広く一般家庭に正しいリサイクルの仕組みや知識を普及啓発する情報発信の場となることを目指し計画された。

建築としては、車両での持ち込みに対応した半屋外的な空間であり、地域の人々が気軽に立ち寄れ、共有される広場的な場所とすることが要望としてあった。敷地は岡山市中心部近郊の交通量の多い交差点に面しており、沿道に連なるのは中層マンションやチェーン店等、個々の施設が自己完結する、閉鎖的で都市性を欠いた風景である。こうした環境に対し、開放的な屋根の構成によって働きかけ、街角をパブリックスペースとして方向づける建築のあり方が模索された。



スパンと曲率の異なる4つアーチ屋根を、街路に対し角度を振りつつずらして並べることで、交差点からの視線の軸を設定した。アーチ屋根は覆いでありながら、それ自体が視線を内部に導く「開口部」としての性格を帯びる。また、アーチ同士のズレによってできる隙間や、敷地境界によって断ち切られた切断面が重なり合い、「窓のなかの窓」という反復する構成を生む。車両からの視点の移動に呼応して風景が開放/閉鎖を繰り返し、街路にリズムが生まれる。

建ち並ぶアーチを境界面として双方向の視点をつくり、向こうとこちらで人々の意識を関係づけること。資源回収という行為が都市で共有され日常の中に拡がっていくために、建築が意識を結ぶ媒介の役割を果たすことを期待している。

CREDIT
建築主/平林金属株式会社
設計・監理/竹下和宏建築設計事務所
施工/株式会社 荒木組
構造・規模/鉄骨造平屋建
敷地面積/560.31㎡  延床面積/472.73㎡

COLLABORATOR
クリエイティブディレクター
 / 株式会社WACT 水原晶代
サイン計画/ファームスデザイン事務所 鈴木タオル
イラストレーション / イチナナイチ 岡崎亜紀子
構造設計/株式会社 ADO建築設計事務所 原憲詞