都市における「スマートなゴミ出し」を目指し、回収重量に応じて利用者にはポイントを付与、景品と引き換えができる仕組み。ネットワーク展開され、本施設は岡山県で2店舗目となる。適切な分別回収を通して、近年増加する違法回収業者への資源供給を断つこと、また広く一般家庭に正しいリサイクルの知識を普及啓発する情報発信の場となるべく計画された。

1枚の湾曲する金属折板の大屋根が風雨の遮断、隣地住戸への配慮等、周辺環境に呼応しつつ機能的な空間をつくりながら、都市からの視線を受け止めるアイコニックな「構え」を生みだしている。ラフで工業的な質感をもつ折板にやさしくユーモラスな形態を与えることで、都市の風景として親しみやすい表情となることを狙った。

施設設計に当たっては、デザインプロトタイプを同じかたちで展開していく所謂チェーン店舗のあり方でなく、「周辺環境と呼応する湾曲した1枚の金属屋根」をコンセプトに、場所の特殊性を引き出す構成をその都度検討している。また、違法回収業者の無人施設と一線を画す、都市の風景となることを意図したデザインオリエンテッドな意匠を目指している。

別棟のギャラリー・倉庫棟は既存の物販店舗の建物をリノヴェーションし有効活用。ギャラリースペースでは定期的に地域住民を招いて、えこワークショップが開催される。ギャラリーに設置されたマテリアルウォールは、回収資源の再資源化はもう一つのものづくりである、という事業主・平林金属のフィロソフィーを表現するものとなっている。

CREDIT
建築主/平林金属株式会社
設計・監理/竹下和宏建築設計事務所
施工/株式会社 荒木組
構造・規模/鉄骨造平屋建・RC造2階建(改修)
敷地面積/658.77㎡
延床面積/新築棟292.80㎡ 改修部261.84㎡

COLLABORATOR
クリエイティブディレクター
/株式会社WACT 水原晶代
サイン計画/ファームスデザイン事務所 鈴木タオル
イラストレーション/イチナナイチ 岡崎亜紀子
マテリアルウォール写真/百々武
構造設計/株式会社 ADO建築設計事務所 原憲詞