奈良県・広陵町。長年暮らした住まいを改修し、動線やバリアフリー・温熱環境を改善すると共に、終の棲家に相応しい居心地に配慮した空間へ再構築するプロジェクト。

クライアントは受け継いだ住まいに対し機能上の問題点を感じながらも、暮らしの記憶が宿った室内風景が全て刷新されるのでなく、ある程度保存されることを望んだ。

4つの部屋が田の字型に隣接する農家住宅に典型的な構成に対し、南庭に近い2間を主たる居場所として改修、残りを既存そのままに残した。各々の部屋は障子を取り払って一室に繋げるやり方でなく、新たに壁を設けて適度に区画することで部屋としての独立性を与え、夫婦が互いに気配を感じながらも距離感を生む構成とした。

改修した部屋は、経年変化でエイジングした竿縁天井や構造部材といった既存の要素と新設するインテリアが一体のものとして調和する様、新旧に差異をつけないマテリアルの配置を検討した。

台所は居室と隣接させ、車椅子利用を想定して製作した対面型キッチンを設置。トイレや洗面所など水廻りは最短距離で移動可能とし、可動間仕切りで1室にもなるフレキシブルさを与えた。

新/旧の空間や素材が対話し、見慣れた室内に新たな風景が感じられればと思う。

CREDIT
設計・監理/竹下和宏建築設計事務所
施工/中嶋工務店
撮影/杉下制也