洋画家と革工芸作家の夫妻のためのアトリエ。
実家であった民家を改修し、週末住宅としても利用できる制作の場をつくる計画である。

建物を南北に貫通する通り土間を中心に、夫と妻のアトリエが向かい合う平面とした。
開閉できる開口部を通してお互いの気配や作業する様子が感じられる構成となっている。

通り土間は南に広がる久々井湾と北の笹尾山を結ぶ軸となり、海からの涼やかな風と光を取り込む。また作品を展示したり様々な用途で利用できるギャラリーとして機能することも意図しており、今後地域との接点になっていくことを期待している。

2つのアトリエは対照的な性格をもつ空間として計画した。
画家のアトリエは気積が大きく、光で満たされる空間であり、安定した北側からの採光と共に、居住空間としての居心地も意識した南採光とした。

対称的に革工芸作家のアトリエは天井高を抑えた籠れる空間で、陰影に富んだ落ち着いた雰囲気とした。

新旧の素材や日々変化していく作品を開口部がフレーミングし、新鮮な視点が生まれ続ける場になればと思う。

CREDIT
建築設計・監理/竹下和宏建築設計事務所
照明設計/LIM LIGHTING DESIGN 吉村美子
施工/健楼工務店株式会社
造作棚/楓の木建築工房 藤原旺希