既存玄関に隣接する部屋の壁面を撤去、一室空間とすることで大きな玄関ホールをつくった。また外部に面し大きく開放できる木製建具を設置、庭と一体で利用できる明るい部屋とした。

玄関ホールは 小屋組みをあらわしにした気積の大きな部屋とした。ゲストを招き、小上りを舞台に見立てることで、住まい手による小演奏会が催されるサロンとして改修。

畳敷であった座敷はフローリングで内縁とつなげ一体の部屋に改修。天井を撤去、屋根勾配を室内にあらわし、新しいキャラクターを持った部屋として計画した。既存の書院はレース障子を入れた明るい書斎コーナーとし、大きくおおらかな空間の中に掘り込まれた「小さな部屋」となることを意図した。

吹き抜けとした回廊状の中廊下が居室を結ぶ。アイストップとなる壁面には框を隠した引込み式の建具を設け、目線の先に常に風景と光を意識させることで閉塞感を払拭した。

引き続き玄関ホールに面する庭園と別棟の蔵の改修が計画されており、新旧が一体となった魅力が今後周辺に波及していくことを願っている。

CEDIT
設計・監理/竹下和宏建築設計事務所
施工/株式会社 森本工務店